実父が亡くなるまで、不動産物件の管理は実父がひとりでやっていた。
だから不動産仲介業者(つまり不動産屋さん)ことをよく知らなかった。
実父が亡くなってから不動産屋さんとのお付き合いがはじまった。
昔の大家さん
実父が不動産屋さんと取引している頃は、不動産屋さんがどこまで不動産管理に関わるかについて、実父と不動産屋さんとの間ではっきりとした取り決めはしていなかった。
そういう点で、実父はまさに「昔の大家さん」だった。
実父のやり方はまさに昔ながらで、不動産屋さんの担当者とのコミュニケーションを大切にしていた。
実父はよく、担当者を飲みに誘ったり、自宅に招待したりしていた。
実父は人をもてなすのが好きだったのだ。
今、そのやり方を私はそのまま真似することはできない。
でも、担当者とのコミュニケーションを大切にする点は実父を見習わなければならない。
不動産屋さんのほうも業界全体として、不動産屋さんが物件についてどこまで対応するか、昔はその辺の線引きがわりとあいまいだったのだ。
本来、不動産屋さんは仲介業なので、法律上は仲介すれば終わり。入居者が入居した後の物件の管理まで面倒を見る義務はない。
実父は素人で、その辺を良く分かっていなかった。
だから、その後の物件管理についても不動産屋さんに相談していた。
「昔の大家さん」はみんなそういう感じだったのだろう。
不動産屋さんも昔ながらのやり方を引きずっていたから、実父のやり方に合わせてくれて、本来は大家がすべきだと思うような用件も、不動産屋さんの担当者が引き受けてくれた。
時代は変わる
でも時は流れ、時代は変わった。
ここ数年、不動産屋さんがどこまで担当するかの線引きが明確になった。
不動産仲介業から不動産管理業に移行する不動産屋さんの話も聞く。
賃貸の仲介だけではやっていけない時代になると予測してのことだろう。
物件を管理する契約を結ばないならば、自主管理(大家が管理する)になり、不動産屋さんは細かいことまで対応しない。
今や当然のことだろう。
大家であるこちら側も「自主管理である以上、物件の管理は大家が行う」という心構えができた。