昔の大家さんの時代にはなかったもの、
そのひとつが「家賃保証」だ。
我が家の賃貸物件はどれも、
入居時に入居者さんに家賃保証をお願いしている。
でも、大家を引き継ぐ前は「家賃保証」という制度があることすら、
私はまったく知らなかった。
家賃保証とは
家賃保証といっても、
最近賃貸住宅を借りたことがない人にはなじみが薄いと思う。
「家賃保証」とは何かを簡単に説明すると、
家賃保証(家賃債務保証)とは、
連帯保証人の代わりに家賃保証会社が大家に支払われる家賃を保証してくれる制度だ。
実は家賃保証という制度自体はかなり前からあったらしい。
ここ数年間に家賃保証を利用する大家さんは爆発的に増えた。
家賃保証の利用が増えた経緯
以前から、賃貸住宅を借りる際は連帯保証人を立てることが求められてきた。
ただ、非正規雇用の増大・景気変動による雇用の不安定さなどが原因で、
最近は以前と比べて家賃の滞納が増えた。
また最近は、連帯保証人をたてたとしても、
入居人が家賃を払うことが難しくなった場合、
連帯保証人に連絡しても、
連帯保証人が家賃を払わないことが増えてきた。
外国人や高齢者など「連帯保証人を立てることが難しい人が賃貸住宅を借りられない」
ケースも増えている。
このため、連帯保証人に代わって保証会社が家賃を保証する「家賃保証」という制度を
利用する大家さんが増えている。
家賃保証会社の種類
家賃保証会社には大きく分けて、
独立系家賃保証会社と信販系家賃保証会社との2種類があります。
独立系家賃保証会社
独立系家賃保証会社は不動産賃貸専門の家賃保証会社だ。
独立系家賃保証会社はたとえば、フォーシーズ、日本セーフティー、Casa、全保連、日本賃貸保証などがある。
独立系家賃保証会社は、過去の不動産賃貸借で家賃滞納があったかどうかを調べて家賃保証の可否を決定するといわれている。
信販系家賃保証会社
信販系家賃保証会社はいわゆるクレジットカード会社から派生した家賃保証会社だ。
信販系家賃保証会社はたとえば、エポス、オリコ、ジャックスなどがある。
信販系家賃保証会社は、過去のクレジットカードの使用歴で滞納があったかどうかを調べて家賃保証の可否を決定するといわれている。
我が家の場合
我が家の賃貸住宅は、
独立系家賃保証会社と信販系家賃保証会社の両方を利用している。
有難いことに現状は家賃の滞納がないのでなんともいえないが、
今後、信販系家賃保証会社と独立系家賃保証会社のどちらを選ぶかと聞かれれば、
私は信販系家賃保証会社を選ぶ。
信販系家賃保証会社を実際利用してみて、
本当にいい制度だと実感している。
なぜなら、
信販系家賃保証会社は大家と入居者さんとの双方にメリットがあるからだ。
大家側のメリット
・家賃は家賃保証会社から大家宛てに振り込まれるため、家賃の滞納がない
・大家側の初期負担がない
入居者のメリット
・連帯保証人がいなくても審査に通れば部屋が借りられる
(これは独立系家賃保証会社でも同じ)
・家賃はクレジットカードと同様に引き落としになるため、家賃の振込み忘れがない
・家賃がクレジットカードで支払われるのでポイントがたまる
入居者のデメリット
なお、入居者のデメリットとして、
手数料を家賃保証会社に支払わなければならない点がある。
しかし、信用系家賃保証会社を利用する場合、
家賃がクレジットカードで支払われるのでポイントがたまる。
信販系家賃保証会社を利用する場合、
家賃をクレジットカードで支払うことで貯まったポイントは電子マネーのポイント等と交換することができますので、払った手数料分をポイントで還元することができる。
大家としては、家賃保証を利用することで入居者さんが手数料を負担しなければならない点は気になります。
しかし、
信販系家賃保証会社を利用する場合、
家賃をクレジットカードで払うことで貯まったポイントで手数料分が相殺されるため、
入居者さんの金銭的負担を軽減できる点が有難い。
家賃保証物件の割合
現状、家賃保証を利用する賃貸物件は7割を超えているともいわれている(家賃債務保証会社の利用率、約75%/日管協)。
しかし、地元密着の不動産屋さんが扱う物件では、家賃保証を利用しない物件もまだある。
実際、我が家と取引がある不動産屋さんも、不動産屋さんのほうから「今回の賃貸物件に家賃保証はつけますか?」とは聞かない。
こちらから「家賃保証会社による審査をお願いします」と言わない限り、家賃保証会社による審査は行わない不動産屋さんが多い。
不動産屋さんとしては家賃保証を利用する物件はできるだけ増やしたくないのだろう。
家賃保証会社による審査を行うと、
入居者が払う手数料が増えるから入居希望者に嫌がられるし、
家賃保証会社の審査が通らなければ入居希望者は入居できないという問題が生じる。
家賃保証会社の利用を大家に奨めるかどうかで、
「入居者のほうを向いている不動産屋さん」なのか、
「大家のほうを向いている不動産屋さん」なのかが判別できるのだ。